カナキティ徒然草

舞踏家カナキティ、日々のつれづれ。

私が人生で最も愛した人は、ファウストなんじゃないかなとしみじみ思います。

何の話って?

2019年の10月に、ダンサーの山本裕さんの作品に出演しまして、私はファウストの恋人役グレートヒェンことマルガレーテを踊らせて頂きました。(グレートヒェンが愛称ってちょっと意味わからんよね。笑)

ファウストに人生を台無しにされたにも関わらず、悪魔と契約したファウストが契約通り悪魔にその魂をまさに奪われんとするとき、祈りを捧げてその魂を救済するマルガレーテ。

お兄ちゃんをファウストに殺されたり、ファウストとの情事で孕って、でもその赤子を持て余して殺すしかなく、さらに婚前交渉の罪で投獄、しかも処刑されちゃう。その頃にはもう狂ってしまってるマルガレーテちゃん。それなのに死して尚、ファウストの魂を悪魔から助け出すって

こんなの並の恋愛じゃないわけですよ。普通の人生では起こり得ないでしょう。

最終的には悪魔とバトってるわけですから。

本番中に「助けに来たわファウスト」って現れる私ときたらもう、この身にある全ての愛のパワーを使い切りましたね。

その時の私の目に映っている裕さんは、裕さんではない。ファウストでしかない。私が人生を懸けて愛した人。

千秋楽が終わったときは、舞台袖で泣きました。すごく泣きました。笑

「もう二度とあのファウストには会えないんだ」って。

だって裕さんは裕さんですからね。笑

仲良しのダンサーさんでしかない。笑

ご家族で仲良くして頂いていて、私の方も嫁さんもお子さんも大好き。

不思議ですよね、本当に。ここまで入り込む自分にも引きますけど。笑

裕さん自身はタイプじゃないっていうか、生理的に恋愛対象として見ることが出来ない相手なのですが。(失礼。笑)

本当に本番中は、最愛の人に見えるわけです。

数日前に裕さんと同じ現場で、またまた恋人役で踊らせて頂く撮影で、やっぱりその瞬間は本当に星が飛び交っていて。

カットがかかると、ただの裕さんになっちゃう。笑

本当に面白いなと思って、ファウストのことも思い出していた次第です。笑

でも普通の人生では味わえないようなことを体験出来るのだから、やはり素敵なお仕事ですよね。いつもいつもこの幸せを噛み締めています。


そしてもう一人いるんですわ。

私が以前所属していた劇団竹の舞台で、20164月に共演した女優の佐藤友さん。

http://gekidan-take.com/past_stages/ps-06/

初めて舞台で演じる恋人役が、レズビアンカップルだったわけなのですが、友ちゃんのおかけでとても自然に入り込めました。舞台で下着になったりディープキスするのもなんのその。だってもう友ちゃんて、本当に天才でさ。

私はこの頃舞台の経験がやっと2回目というところで、でも友ちゃんが本当にその役の人にしか見えない、お客さんなんか存在しなくて世界に2人きりみたいな感覚を体験しました。

それを果たして当時の実力でどれ程アウトプット出来ていたかは自信ないですが、すごかったなぁ。ガラスの仮面の世界かと思いました。

それ以来、プライベートで会っても、なんだか「あ元カノ」という、なんともこそばゆい気分になってしまいます。笑

そんな友ちゃんとは、LLLLMVのときにオファーかけさせて頂いて、再びカップルを演らせてもらっています。

よかったら見てね。

https://youtu.be/95zL4HEAn5s

これもね、本当に切なくてね。こんな恋は現実で出来ないよ

いや「現実は小説より奇なり」ですよね、バイロン先生。

私が若い頃に悶え苦しんだ恋愛体験が、こういうところに繋がっているのだと信じたいものですね。


しかし本当にあんなに泣いてた頃が嘘みたいですよね。若い頃って全体的に、本当に出口が見えない真っ暗闇みたいに感じていたのに。親友はママになっちゃったりしていて「うふふ、いい思い出よね」なんて一緒に振り返ることが出来る日が来るとは。

だから歳を取るって最高だなと思います。

永遠に続くように見える苦しみや悲しみも、どうにかこうにか乗り越えられるもので。時間はすごい味方です。

同時に、こうして一度しっかりと強くババアになると、あんな風に苦しんだりすることはもう二度と出来ないわけですから、本当に一瞬一瞬が天文学的奇跡であって、なんてかけがえのないことだろうと思います。だから目の前を全身全霊で生きなければダメなのですよね、何歳でも、いつどんな時も。

若い頃の恋愛は、いや、若いマインドでする恋愛は、そこに他人に対しての自己承認欲求を織り交ぜて、さらに自己受容出来ないことを恋心にすり替えているから辛いのでしょうね。いや、ほんと辛いよねー。

この人に愛されないと世界の終わりでもう死ぬ、みたいに勘違いしちゃうもんね。

本来は、自分の価値と他人に愛されるかどうかは全く関係がないし、好きという気持ちはただ湧いてくるものですからね。

人類は子孫繁栄のみで相手を求めるのではなく、恋愛をする自由があって本当にラッキーですね。

いのち短し恋せよ乙女。

こんばんは、カナキティです。

今日は節分ですね。ということは、明日は立春です。立春は冬至と春分の、ちょうど間なのだそうですよ。

夜が一番長いのが冬至。そこから少しずつまた日が伸びていくのですよね。2月って日本では一番寒い時期なので立春というのも変な気もしますが、いつの間にか少し日が暮れるのが遅くなっていますよね。なんだかうれしいね。

無宗教のイメージが強い日本ですが、暦は本当に、神道と四季に結びついていますよね。おもしろい。


私はと言えば、一昨日が撮影で、翌日は疲れを引きずって、ずっと寝ていました。

「これは立春を前に、身体を整えているのだ」とか自分に言い訳もしながら、本当にずっと寝ていました。

だって自分でも引くくらい寝るんですよ。

確かに、撮影当日は午前4:00に起き、5:00に家を出て、帰宅は深夜2:30でした。充足感に溢れた幸せな疲労でしたけれどね。

でも24時間近く稼働すると、結局その後24時間くらい寝るのですよ私は。嘘ね、それ以上だ。稼働時間に対してもっともっと、何倍も寝ないとダメです。

泣く子も黙るロングスリーパーなのです。


ちなみに身体だけじゃなくて、主に脳を回復している気がします。

だから昼寝もよくします。毎日のようにします。ちょっと頭を切り替えたいときに、私にはとても有効です。

ショートスリーパーになって時間をたくさん使おうなんて考えたこともありません。寝ている時間も同じくらい有意義だと思っていますので。うふふ。


でも昨日は少し怖かった。最寄駅から自宅まで歩いているとき、目に映るものが全て映像みたいになって、肉体がそこにある感じがしないのです。鍵を取り出す手も、自分が動かしているように感じない。POVの映像を見ているような感じです。撮影は本当に楽しくて、「しんどいな、疲れたな」とか全く思っていなかったのだけれど、つまり疲れていたのかな。笑 

ずっとこうだったらどうしよう?と思っていたけれど、寝たら直りました。疲れているときって、あるいは精神的に不安なときって、ずっとこのまま元気にならないような気がして怖くなると思うんですけど、私の経験上、ひたすら寝たらいつかは気分が変わります。大丈夫だよー。


私って本当に怠惰な人間ですけど、今日唯一頑張ったことはホームページの更新です。ちょっと見てみてくれたら嬉しいです。ホームページずっとあるんだよ、知ってた?

https://www.kanakitty.com/

アーティストなんて要はフリーランス。事務作業の多いこと。書類作業ばっかりさ。

それにしてもSNSやる気がしないターンに入っています。いろいろ更新せねばならないのにね。

たぶん、現実が楽しすぎるんだ。幸せなことです。

明日の撮影も楽しみ。頑張ろう。

「ケイエムシネマ企画から参りました、カナキティです。ハローキティのように世界中で愛される日本のアイコンになるべく、この名前で活動しています」

これ、私のオーディション時の自己紹介です。

どう?ダメ?同業の皆さま、この自己紹介良くなさそうでしたら、教えてくださいね。笑

でも本当にそのように名付けた芸名です。

海外の方にも覚えてもらいやすいように、発音しやすいように。

あとKana Kittyで「KK」になって可愛いかなって。フルハウスのドナ・ジョーが「DJ」みたいにKKって呼んでくれてもいいよ。まだ呼んでくれた人いないけど。私もすぐには自分が呼ばれてるって気付けないかもしれないけど。笑


カナキティという芸名がいいですと社長に申し出たときは「えーーー、そんな名前にしたらすぐ変えたくなるわよ」と言われましたが、「大丈夫です。カナキティおばあちゃんになります」と食い下がり、通りました。カナキティおばあちゃんになるもん。

オーディションの受付のときにはよく、「日本の方ですか?」と訊かれます。中国や台湾のハーフとか?みたいな。顔がめちゃめちゃアジアなのでね、私。嬉しいです。しめしめ効いてるぞ、みたいに思っています。

現場では「キティさん」とか「キティちゃん」と呼んで下さる方がいて、それも嬉しいです。そう言ってるその方が可愛らしくて。


さて、私はキャラものとか一切ダメな方で、キティちゃんグッズを集めることはしないのですが、純粋に彼女をリスペクトしています。こんなに世界に知られている日本産の創作物は、他にないのではないかと思って。

何故カナにキティをくっつけることになったのか。

はっきりとしたきっかけがあります。

2016年、私は舞踏公演のためにヨーロッパにいました。

その日はベルリンにいて、オフなので一人で蚤の市に出掛けました。マウアーパークという州立公園でした。

アンティーク雑貨など魅力的なものがたくさんあって、わくわくしながら買い物していました。食べ物が売っていたり、来ている人々は家族や恋人同士でのんびりしていたり、野外フェスのような雰囲気です。

ぶらぶらしていると、歌が聴こえてきたので「ライブでもやっているのかしら」と思って音楽のする方へ歩いていきました。近付いてみると物凄い観客の量だったので、有名な人のコンサートなのかと思えば、なんとその実体は、カラオケ大会だったのです。

歌いたい人は手を挙げて、司会のお兄ちゃんに選ばれると歌えるシステム。

こういうとき、自分はどこかおかしいのかなと思うのですが、急に挑戦したくなった。笑 友達と一緒にいてふざけあってノリでとかじゃないのに。完全に一人なのに。しかも日本人どころかアジア人も見当たらない、どアウェイなのに。

皆さん今どれくらいの規模の場所を想像して読んでますか?屋外ですが、簡易的に座れるようになっているところが段々になっていて、コロシアムのような形になっている。選ばれた人は、その中心で歌います。景色は小さめの野音みたいな感じです。

中心まで降りていって、前に座ってしばらく様子を伺っていると、隣にいた酔ってベロベロのファンキーなおばちゃんが、頼んでいないのにも関わらず、歌っている人たちの解説をめっちゃしてくれる。そして私が日本から来た旨など話すと、おばちゃんが「(この子よ、この子を歌わせてあげて)」と猛烈にアピールしてくれたおかげで、私は無事に司会のお兄ちゃんに選ばれたのです。

おばちゃん、司会のお兄ちゃんに賄賂を送ろうとか、あなたが選ばれるなら彼のチ◯ポをしゃぶってもいいとか言ってて、さすがベルリン。皆パンク。

おばちゃんの事を思い返していたら話が長くなりましたが、私は歌うことになり、ステージへ。

そしてMCのお兄ちゃんによる私の紹介。

(彼女はTOKYOから来たKanaだよ。わー、彼女すっごく日本人て感じだよね、ベルリンにやってきたハローキティだね)

間違いなく、当時としては人生で最多の観客数。

その時に思いました。皆、ハローキティは知っているのか、と。

同じツアーの中盤あたりで行った、観光客など一人もいないような南フランスの田舎でも、フランス人の小さな女の子がキティちゃんの服を着ていました。

すげーな、ハローキティ本当にリスペクトと、思ったわけです。

ちなみに歌った曲は、カーペンターズの「イエスタデイ・ワンス・モア」でした。「エヴリィシャラララ」で観客が手を振っているのを見ながら、ロックスターのような気分を体験しました。いや、確か私が煽ったんだ、自分から。笑 そしたら皆が手を振ってくれたんだ。

懐かしいですね。


目標はもちろん、サンリオさんとお仕事をすることです。

頑張ろう。

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