こんなに暖かいなんてすごいね。春の夜って感じだね。まだ2月なのに。春の生温かい夜の風は、なんとも言えずに鳩尾あたりがうずうずとして、たくさん記憶を運んできて、センチメンタルになるのだから、まだまだエモいね自分よ、と思います。まだまだ若い心があるじゃないのと、自分を励ましますね。
一人、とても幸せな夜だから書こう。
私が大好きなCOoMOoNOの舞台を観てきました。
例えば、映画「TENET」や「パラサイト 半地下の家族」のような、誰もが絶対に楽しめるだろうと、世間が十分に話題にしていても更に自分もイキって人に勧めるものと、誰もわかってくれないとしても地球の終わりまで私は絶対にこれが好きだと、私の大切なひとたちに、こっそりおすすめしたいものがあるとしたら、COoMOoNOは後者。
自分の宝物のレコードを、自宅に好きなひとたちだけ集めて皆に披露するような気持ち。(あ、私レコードないけれどね、イメージの話ね)
だから書いちゃう。
久しぶりに観ることが出来て、久しぶりに私の好きなCOoMOoNOのスケールで、本当に胸がいっぱい。久しぶりにお腹の底から震える喜び。この世にこの作品があってよかったなぁって思う類のものです。
どうやったら人に伝わるのだろうと毎回思う。演劇でくくれない「体験」なのだよな。
1カットの映画を観ているような。いや、1カットと言ったのは、お芝居なので現実には動き続けるわけで、カットがないからなのだけれど、その感動はどちらかと言えば美しく緻密なカット割の映像作品を見たときのようなんだよな。COoMOoNOに出逢って、灯りと音響と人の動きと言葉で、こんなにも鑑賞者の意識や視点を繊細に動かすことが出来るのかと驚いて感動して、それから何年も経って。今もその感動は変わらず。
日々の中の、本当に誰とも共有できない子供の頃からの宝物のような記憶…みたいな作品。
こういうものがこの世に存在することが、なんと生きていく上での勇気になることか。ありがたい。
この時期に伊集院さんの新作書き下ろしを享受出来るなんて幸せすぎる。
秋の夜長に一人良質な小説を読んでいるときのような脳の使われ方でした。
・COoMOoNO
本当に、出逢ってほしい。
COoMOoNOのように、この人生で本当に胸が抉られるというような作品がいくつかあって。有名無名関係なく。私はそれらの作品に出逢って人生が全く変わってしまった。それって今思うと本当にすごいことで、ずっとずっと大切にしていきたい。
私が19歳のときに、私も自分の中にある景色をこの世に出していきたいって本気で思った、きっかけ。そんな音楽をつくる古い友人。
・mitsuru shimizu
そして私が舞踏を志したきっかけ。今でもずっと、私の神様。
・根耒裕子
あれから随分と時間が経ったのに、やっぱり観ると、なにやってんだ自分、まだまだだなと思う。
藝術はそうやって本当に人の人生を変えてしまうのだからすごい。
そういう宝物を携えて、死ぬまでやっていく。
春は、そういう気持ちを運んでくる。
震災から10年。もうすぐ親元を離れて10年。私が初めて一人暮らしをした小さなあの部屋から、10年が経ちます。
真夜中のコインランドリーからの帰り道、自転車で走った細い道。夜はどこまでも続いていて、世界はこの手にあるのだと思った。今だってそう思う。
照らしてくれた小さな光を追いかけて、自分も誰かを照らす光になれたらいいと願うし、きっとああいう時に誰かに呼ばれたような気がするのは、それは未来の自分の声だと思う。
「走って、走って、ここまでおいで。大丈夫だから」
だから私たちは発信をやめてはいけない。
目に映るものへの愛を止めてはいけない。
そう思いながら踊っています。